チャプター 46

ヘンリーの不快感は、イザベラの完璧に手入れされた指先が彼の袖に模様を描くようになぞるたび、ありありと伝わってきた。

「ヘンリー……」彼女は囁いた。「今夜は一緒にいてくれるわよね? まだ、いろいろあって……私、すごく動揺してるの……」

彼は身じろぎした。彼女のそばにいることが、急に息苦しく感じられたのだ。いつから彼女の存在は、終わりのない芝居のようになってしまったのだろう。

「会議がある」彼は答えた。その言い訳は、自分の耳にさえ空虚に響いた。

イザベラの顔が失望にくしゃりと歪む。「そう。もちろんよね。仕事がいつだって一番だもの」彼女は背を向け、頬を伝う涙を一本、見事なくらい正確に落として...

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